怠け者サラリーマン投資日記

30代サラリーマンである筆者が、資産運用(株、債券、不動産など)や不労所得について語るブログです。

北朝鮮ミサイル発射は円高?円安?

皆さんご承知のとおり、北朝鮮とアメリカとの間に緊張が走っています。

発端は、8月10日に北朝鮮がグアム島周辺に向かってミサイルの発射を検討している事を明らかにした事で、北朝鮮側は合計4発のミサイル発射を検討しており、日本の上空を通過させるなど、具体的な飛行ルートも予告しています。

これを受けて、トランプ大統領は、「グアムに発射した場合は、朝鮮半島に今まで見たことない事が起きる」として、北朝鮮の発言に対してけん制しています。

金融市場でもリスクオフが優勢となり、円高・株安の動きが強まり、ドル円は一時108円台を記録し、現時点で109円台前半で推移。10日の米国ダウ平均株価も200ドル近く下落しています。

北朝鮮問題に限らず、リスクオフ局面では殆どのケースで為替は円高に推移するのが常識になっています。ニュースなどでは「安全資産の円を買う動きが強まった」と解釈される事が多いですが、仮に北朝鮮がミサイル発射した場合でも果たして円は買われ続けるのでしょうか。

今回は、安全資産としての円の歴史を振り返り、北朝鮮ミサイル問題と円相場の動向について考えていきたいと思います。

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安全通貨とは

そもそもの安全通貨の定義について、次のとおり引用しておきます。

世界のどこかで危機が起こった時に買われる通貨を安全通貨と言います。

これは、通常、地政学的に関連性のない通貨、経済的に関連性のない通貨、中立国の通貨、大国(基軸)の通貨などがその対象となります。

例えば、戦争や地域紛争、大規模テロ、金融危機などが起こって世界情勢が不安定になると、マネーは安全性を求めてすばやく移動します。

そして、危機がしばらくして一段落すると、資金の流れが変わって、すぐに元に戻ることが多いです。

安全通貨とは|金融経済用語集

 

2001年以前は米ドルが安全通貨

今でこそ、日本円が安全通貨の代表格になっていますが、日本円が安全通貨としての地位を確立したのは、2001年以降とかなり最近の事なのです。

それ以前までは、米ドルが安全通貨としての地位を築いており、「有事のドル買い」が一般的でした。お馴染みの「有事の円買い」が市民権を得たのは、歴史的に見るとつい最近の事なのです。

例えば、湾岸戦争の引き金となった、イラク軍によるクウェート侵攻が1990年に実行された当時のドル円相場を振り返ってみると、クウェート侵攻の第一報の瞬間に、ドル円は2-3円の円安に動いています。当時は「有事のドル買い」だった事がうかがえます。

しかし、米ドルの安全通貨としての地位も永遠ではありませんでした。

2001年9月11日に起きた米国同時多発テロ事件を機に、投資家の間では「有事のドル買い」から「有事のドル売り」へのシフトが顕著になっていきました。

そして、「有事のドル売り」の受け皿として買われた通貨が日本円でした。

 

安全通貨としての日本円の歴史

同時多発テロ事件以来、米ドルに代わって、日本円は安全通貨としての歴史をスタートさせていく事になります。

参考までに、筆者が記憶している範囲内で、「有事の円買い」が発生した代表的な出来事を列挙してみます。

  • リーマンショック(2008年)
  • 東日本大震災(2011年)
  • 英国のEU離脱(2016年)
  • トランプ大統領誕生の瞬間(2016年 当選確実の瞬間は円高だが、翌日には円安)
  • 北朝鮮によるミサイル発射

特に、東日本大震災時は、日本国民による資産の海外逃避が膨らむとの思惑から、地震発生当初は円安に振れましたが、徐々に円高に推移していくという不可解なものでした。

保険会社による保険金支払い調達のために、保有している外貨建て資産の売却に伴う円買いが膨らむなどの後講釈はありましたが、実際のところはどうだったんでしょうか。

ともあれ、有事の際には必ずと言っていいほど円は買われていき、現在まで、日本円は安全通貨としての地位を着実に築いています。

 

北朝鮮ミサイル発射でも円高継続か?

過去、北朝鮮は幾度となく、米国や日本を含む近隣諸国に対して、挑発行為を行ってきました。そして、その都度、為替相場では円が買われるという歴史を繰り返してきました。

さて、今後も北朝鮮が同じように挑発行為を継続する場合、リスクオフによる円高は継続するのでしょうか。

この問いに対する筆者の見解は、2つのシナリオを想定しており、各シナリオによって、円高継続もしくは円安転向に分かれるのではないか、と考えます。

各シナリオの具体的な内容と、為替相場の同行について説明していきます。

シナリオ1:北朝鮮による挑発行為は継続するが、ミサイルが着弾しないシナリオ

平たく言うと、今までのように、北朝鮮が「撃つぞ撃つぞ詐欺」を繰り返すシナリオです。そして、世界各国は連携して、北朝鮮に対して平和的な方法で自制を求めていくシナリオです。

このシナリオであれば、日本円は引き続き安全通貨としての地位を保つ可能性が高いと、筆者は考えます。

というのも、シナリオ自体が今までの繰り返しなので、為替相場も今までと同じように動くだろう、という理屈です。

シナリオ2:ミサイルがグアム着弾して、アメリカが報復戦争を始めるシナリオ

これは最悪シナリオで、現時点で誰も望んでいないシナリオです。

仮にこのシナリオが実現した場合、日本が当該戦争に巻き込まれるのは必至です。

日本はアメリカの同盟国なので、いざ戦争が始まれば、日本は軍事的にアメリカに協力する事になるでしょう。

加えて、北朝鮮の視点に立つと、日本はいわば「小アメリカ」のようなものなので、戦争が始まると、日本に対して攻撃してくる可能性も十分にあります。現に、日本国内には、北朝鮮のスパイが多数いると言われていますので、スパイを通じて内部から攻撃する事も可能です。

このシナリオが実現した場合、日本はもはや安全ではなくなるので、円買いをする根拠が失われ、むしろ円売りに動くのが普通の発想かと筆者は考えます。

2001年の米国同時多発テロを機に起きた「有事のドル売り」へのシフトと同じように、日本が北朝鮮との戦争に参加するのを機に「有事の円買い」から「有事の円売り」に転向する可能性があると思っています。

 

専門家の意見を過信せず、資産防衛を心掛けるべき

現時点で、識者の間では、北朝鮮が本気でグアムを攻撃してくる可能性は小さい、というのが共通認識のようです。

その根拠は、仮に北朝鮮がグアムを攻撃した場合は、アメリカが報復するのは必至で、その場合にアメリカの圧倒的な軍事力により北朝鮮が崩壊するのが確実だから、北朝鮮も負け戦を仕掛けるような馬鹿をやるはずがない、という事のようです。

この意見に対して、筆者も概ね同意です。北朝鮮の軍事力が上がっていると言われていますが、流石に軍事大国アメリカを相手にした場合、北朝鮮が勝利する確率は限りなくゼロだと思います。火を見るより明らかです。

しかし、ドナルド・トランプが大番狂わせで大統領になってしまうようなご時世では、確実に断言できることなんて無いという思いもあります。

つまり、北朝鮮が捨て身覚悟で、アメリカに宣戦布告する可能性だって想定しておくべき、という事です。そして、日本に攻撃してくる可能性も。

その万が一の場合に、金融市場がどう動きそうかは、シナリオ2で書いた通りです。

専門家の意見は、深い知識や経験に裏付けされたエビデンスも備えており、信憑性が高いものなので、筆者のような素人は専門家の意見に真摯に耳を傾ける事で学べる事は多いと思います。

しかし、それを鵜呑みにするか否かは別問題です。

なぜならば、専門家の意見といえども、それは将来の予測に関する一つの意見に過ぎないからです。

アメリカの大統領選挙が始まった当初、誰がトランプの当選を予想していたでしょうか。どの専門家やコメンテーターも、ヒラリーやブッシュなどトランプ以外の候補者が大統領になるだろう、と予想していました。

専門家の仕事は、論拠を並べて、有り得そうなシナリオを提供する事です。ロジックがしっかりしていれば、予想を外しても許されたりします。あなたの資産に責任を負っていません。

最終的には、自分で判断する事が求められますし、だから人生面白いのです。

長くなりましたが、北朝鮮問題に関する筆者の考えをまとめてみました。

 

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