【貯蓄手段の搾取】長期金利が再びマイナス圏に突入
国内の10年物長期金利が再びマイナス圏に突入しています。
長期金利がマイナス圏に突入、昨年11月以来-短中期の需給逼迫が波及 https://t.co/cMz6hviYGg @bloombergjapanさんから
— 怠け者投資家@ブロガー (@Lazy_Investor_) 2017年9月3日
今回は金利について考えたいと思います。
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全資産の投資リターンは、金利水準によって決まる
世の中には様々な投資対象が存在します。メジャーどころでは、株・債券・不動産・預金・商品あたりでしょうか。
いきなりですが、ここで質問です。
これらの投資資産のいずれかの購入を検討しているとして、あなたはその資産に対して 何パーセントのリターンを求めますか?
正解は「金利水準に依存するから、何とも言えない」です。
これがどういう事か、説明してみたいと思います。
例えば、1年物金利が1%の状況を仮定すると、これは満期が1年の国債を買えば、1年後に1%のリターンを得られる事を意味しています。
つまり、現時点で国債を100円で購入した場合、1年後には手元に101円(1%のリターン)が戻ってくる事を意味します。
若干理屈っぽいですが、(一般的に)日本政府が1年後に財政破綻する可能性はゼロだと考えると、この国債から生まれる1%のリターンはリスク無しだと考える事ができるわけです。
そして、この前提が与えられた場合、国債より値動きが大きい資産(株式や不動産など)に対して、あなたはどの程度のリターンを求めますか、というのが次の質問です。
常識的な金銭感覚を持っている読者の方であれば「少なくとも、1%以上のリターンを求める」と回答する方が多いのではないでしょうか。これは、正しい感覚です。
なぜならば、国債を購入しておけば、リスクなしで1%のリターンが得られるという状況なのに、国債より値動きが大きい(=リスクが大きい)株式や不動産をわざわざ購入するという事は、国債より大きなリターンを求めないと投資として割に合わないからです。
従って、投資資産のリターンを決める要因として、まず第一に金利水準があげられます。
金利の次に、資産に応じたリスク度合いや、投資家の視点に応じて、金利水準からの上乗せ幅が決められ、それが市場価格に織り込まれていき、相場を形成していく事に繋がっていくわけです。
投資資産に限らず、起業する場合も同じです。金利が1%の時代に、利益率が1%のビジネスはかなり効率が悪いという評価になります。明らかに、国債より起業の方がリスクが高いのに、両者ともリターンが同じ1%では、わざわざ起業してリスク取ってる意味はありませんので。
以上、金利について説明してみましたが、兎にも角にも、金利が全てのリターンの基準になっているという事です。
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主要国の金利水準
ここで、日本含めた主要国(米国とドイツ)の金利水準について見ていきたいと思います。
因みに、金利は満期までの期間によって異なるのが普通です。例えば、1年物金利は1%であっても、5年物は1.5%、10年物金利は2%といった具合です。
一般的に、経済系のニュースや新聞記事で、金利が上がった下がったを見るときに用いられるのが、10年物金利(長期金利という呼称の方が一般的)の水準で見られることが多いです。筆者含む個人投資家は、この長期金利だけをウォッチしておけば大体OKだと思います。
【主要各国の長期金利水準】
- 日本:約0%(金融緩和継続。たまに、マイナス圏突入)
- 米国:2%台前半(利上げ観測くすぶる)
- ドイツ:約0.5% (金融緩和からの出口近し)
主要各国のうち、日本の金利だけが 圧倒的に低い水準で推移しています。
ドイツの金利も低いですが、現在、ドイツをはじめとした欧州全体の景気底打ちが鮮明になってきており、金融緩和を解除する動きも出てきていることから、いずれ金利に上昇圧力がかかるだろう、という見方が優勢のようです。
翻って日本は、日銀が物価上昇2%という大ナタを振って、アクセル全開の如く金融緩和を継続していますが、未だに物価が低迷しており、金融緩和の出口が一向に見えていないのが現状です。
日銀は、表向き、物価上昇率が2%に達するまでは、金融緩和を継続とのスタンス。
— 怠け者投資家@ブロガー (@Lazy_Investor_) 2017年9月3日
しかし、物価2%が全く見えてこない現状、日銀・政府含めて、物価上昇に向けた策があるのかどうか、全くもって疑問
ゼロ金利が意味する事とは
投資家目線として、ゼロ金利(又はマイナス金利)が意味するところは何でしょうか。
筆者の個人的意見は「日本国民の貯蓄手段を奪っている」という事だと思っています。平たく言っちゃうと、国民からの搾取の一種だと思います。
既に説明した通り、金利は全ての資産のリターンを決めるという要素を持っています。その金利がゼロ(たまにマイナス)である事は、その分だけ資産全体のリターンが低い事を意味します。
今後も円を持ち続けますか?
当面、日銀が金融緩和をストップする雰囲気は一向にありません。毎日、じゃぶじゃぶ紙幣を発行し続けています。
一方、普段から私たちが使用している日本円は、日銀が信用を付与している紙切れに他なりません。
(銀行預金者含む)筆者のような個人投資家は、これからも円を持ち続けますか?低金利により搾取している通貨を持ち続けますか?
そんな日銀が発行している日本円に対して、我々庶民は、これからも信用し続けてよいのだろうか。
— 怠け者投資家@ブロガー (@Lazy_Investor_) 2017年9月3日
金融政策は日銀の仕事としても、個人の資産をどうするかは、完全に個人の責任。
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