怠け者サラリーマン投資日記

30代サラリーマンである筆者が、資産運用(株、債券、不動産など)や不労所得について語るブログです。

ドイツ連銀による金塊の本国輸送から、今後の世界経済の行く末を考えてみる

最近、気になるニュースがありましたので、紹介したいと思います。

そのニュースとは、ドイツの中央銀行にあたるドイツ連銀による金塊の本国輸送計画が完了した、というものです。

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以下に、当該記事を抜粋しておきます。

ドイツ中銀、フランスで預けていた金塊を本国に輸送 3年前倒し

ドイツ連邦銀行(Bundesbank、中央銀行)は23日、フランスの中央銀行に預けていたすべての金塊をドイツ本国に輸送したと発表した。米国で保管していた一部金塊も国内に移したという。当初計画では2020年までに行われる予定だったが、3年前倒しで完了した。

(8月24日 AFP記事から抜粋}

筆者が気になった理由として、ポートフォリオに金価格連動のETFが含まれているという事もありますが、それ以上に、今回の金塊輸送から、今後の世界経済に対して何かしらの示唆があるのではないか、と思ったからです。

そもそも中央銀行は金塊を保有する理由

この報道を知るまで、筆者もあまり詳しくなかったのですが、各国の中央銀行は金塊を保有しています。最近では、中国の中央銀行である中国人民銀行が、金の購入量を増やしているとの報道も話題になっています。

しかし、なぜ各国の中央銀行は金を保有しているのでしょうか。

それは、外貨準備の一環としてです。

中央銀行の役割の一つに、自国通貨の価値安定化というのがあります。

これは、為替市場などにおいて自国通貨が過度に安くならないように、中央銀行は通貨価値の安定化を図る使命を担っている、という事です。

更に平たく言うと、為替市場において自国通貨が過度に売り込まれて、自国通貨の価値が米ドルなどの外国通貨に対して急落している局面においては、中央銀行は為替介入により自国通貨を買い支える事により、自国通貨の価値を守る役割がある、という事です。

自国通貨を買うわけですから、逆の見方をすれば、外国通貨を売る事になります。

従って、有事に備えて普段から一定の外国通貨を所有していないといけません。そして、この外国通貨の事を外貨準備と言います。

加えて、中央銀行が金を保有する事で、自国通貨に対する心理的な安心感が醸成され、通貨価値の安定に寄与するという効果もあるようです。

通常、この外貨準備は米ドルなどがメインですが、金も一部含まれており、これが中央銀行が金を保有する理由になっています。 

 

ドイツが世界中で金保管していた理由

報道によると、ドイツ連銀が保有する金の保管場所は、ドイツ国内以外に、米国、英国、フランスがあったようです。

金の保管場所を分散させること自体は、ドイツ連銀に限った話ではなく、その他の中央銀行も同様の事をしています。

そして、保管場所を分散させる理由として、一般的な理解は次の通りです。

保管場所を分散させておく事で、いざ有事が生じた際には、保有している金を迅速に現金化して、遅滞なく為替介入が実行できるようにするために、保有している金の一部をアメリカや英国など金融主要国に預けておく

ドイツ連銀に話を絞ると、上記の理由はあくまでも表向きな理由で、実際は第二次世界大戦の敗戦国として、米国などの戦勝国に対する「人質」として金を預託していた、との憶測もあるようです。

ドイツが金を国内に輸送している理由

ドイツ連銀の公式発表によると、保有する金に対する監査を強化するため、という事のようです。

米国などの外国に金を預託していますが、本当に実在するのかが不明である事や、預託先の国が勝手に利用している可能性も否めないため、監査を強めるためにドイツ国内に戻す、というのが趣旨のようです。

しかし、この説明に対しても懐疑論が浮上しています。というのも、タイミング的になぜ今なのか、といった疑問が残るからです。

筆者も同感です。

今回の輸送は2013年から開始していますが、もっと前から実行できたのでは、と思ってしまいます。

従って、筆者の意見としては、国内に輸送する意図は他にあると思います。

そのため、本当の意図について様々な陰謀論が浮上しておりますが、証拠不十分の中でどれが正しいのか筆者では分かりませんし、様々な陰謀論を吟味すること自体が時間の無駄だと思います。

今回の報道から確実に言える事は、ドイツが目の届く範囲に金を管理したがっている事だと思います。

しかも、当初のスケジュールよりも3年前倒しで輸送が完了している事から、ドイツ自身も相当急いでいた、という示唆もありそうです。

今後の世界経済の動向について考えてみる

結論として、Brexitやトランプ大統領に象徴される自国主義が主役となる時代が本格的に到来する、と読んでいたりします。

筆者がそのように考える理由は、こうです。

近い将来、自国主義の勢いが今よりも増した場合、国同士の距離感が今よりも開き、状況によっては関係自体が分断されてしまう事もあり得るので、預託している金が戻ってこない可能性も十分に想定される。

そうなった時、金の所有権は、もはや失ったのと同じ事になります。

そして、ドイツ自身もそのリスクを認識しており、まだ自国主義の勢いが強くないうちに、預託している金を国内に戻しておきたい、というのが筆者の読みです。

今回の出来事が一過性なものであれば深読みする事も無いのですが、今後の世界経済に対して何かしらの示唆を含んでいる場合、それが金を含む資産価格に対してどのような影響をもたらすか、投資家として日頃から考えておかねばと思うきっかけとなりました。

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