怠け者サラリーマン投資日記

30代サラリーマンである筆者が、資産運用(株、債券、不動産など)や不労所得について語るブログです。

【日銀金融緩和】追加緩和で外国債券の購入というウルトラCは実現するか? ⇒その場合、強烈な円売り圧力!

国内金融ネタです。

本日21日、日銀会合(金融政策決定会合)が閉幕しました。結果として、現状の金融緩和を維持する事になりました。

しかし、今回の会合がデビュー戦となる片岡剛士委員が反対票を投じるという異例の事態が発生しました。ここから、今後の金融政策について考えたいと思います。

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新任の委員が反対票を出すのは異例

筆者も知りませんでしたが、会合デビューしたての新任委員が反対票を投じる事は、極めて異例のようです。

片岡氏の反対「サプライズ」 SMBCフレンド岩下氏

SMBCフレンド証券の岩下真理氏は「初回から反対票を出すのは珍しく、サプライズ」と指摘した。

片岡氏の反対「サプライズ」 SMBCフレンド岩下氏 :日本経済新聞

これに対して、黒田日銀総裁は「活発な議論の結果」だとして、「具体的なコメントは控えたい」としています。

これを受けて、市場関係者は、今後の金融政策において、追加緩和が焦点に移るのではとコメントしています。

鵜飼氏(JPモルガン)緩和強化の議論が増える可能性がある。(出所:日経新聞)

丸山氏(SMBC日興):マンネリ化が進んでいるとも言えた金融政策決定会合や日銀内の議論に片岡委員が新たな風を吹き込んだ。(出所:Bloomberg)

六車氏(三菱UFJモルスタ):具体的な緩和強化案を提案する可能性があろう。(出所:Bloomberg)

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反対票は、将来の追加緩和に向けた地ならしか?

今回の片岡委員の反対票は、現状の金融緩和策が行き詰っている中で、追加緩和に向けた地ならしと見る向きも少なくありません。

日銀のような超保守的な組織において、前例のない事態はまず生じないと考えるのが普通でしょう。

そして、黒田総裁も会合後の記者会見で、本件について軽く受け流している感じです。黒田総裁は頭脳明晰との評判がある方なので、何も考えていない事はさすがに無いのでは、というのが筆者の見方です。

日銀としては、行き詰っている現状を打破するために、追加緩和に打って出たい気持ちが少なからずあるのでは、と勘ぐってしまいます。

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追加緩和がある場合、外債購入の禁じ手解禁なるか?

ここからは、完全なる筆者の読みです。

仮に追加緩和があるとした場合、その手段はどういったものでしょうか。

筆者は、現状の長短金利操作付き量的・質的金融緩和において、これ以上の政策拡大余地は少ないと見ています。

簡単に説明してみます。

まず、金利操作から。現状、長期金利をゼロ%程度に誘導する事を掲げていますが、これ以上の金利低下は、金融機関の収益を圧迫するために、なかなか手を出し難いところだと思います。

次に、量的・質的な観点について。日銀は、年間数十兆円レベルで日本国債を購入し続けた結果、世の中に出回っている国債が品薄になってきています。このような現状を考慮すると、購入量をこれ以上増やすのは物理的に無理だと考えます。但し、これは円債を前提にした場合の話です。

円債にこだわらず、外国債券まで視野を広げれば、物理的な量はいくらでも存在します。

しかも、欧米の金融政策は、金融引き締めの真っただ中です。

  • アメリカのFRB:バランスシートの縮小開始を決定。更に、年内利上げの可能性も示唆。
  • 欧州のECB:大規模金融緩和からの出口を示唆。ユーロ高のきっかけ。
  • イギリスのBOE:利上げを示唆したことから、英ポンドが急騰。

今まで債券の大口買手であった各国中央銀行が金融引き締めに動いていることで、買手が急減しているのが世界的な動きです。

したがって、日銀としては買い入れる債券の範囲を外債まで広げるのであれば、物理的な品薄に直面せずに済みます。

一方で、これは日銀が円紙幣を刷って、為替市場で円売り外貨買いを行って、外債を購入する事になるので、円安誘導と批判される可能性がもろにあります。一国の通貨安は、他国の通貨高なので、国同士の利害が真っ向から衝突します。

しかし、日銀と政府が一体となり、外交努力次第では、できない事もないと思います

現にアメリカでは、税制改正による減税や、インフラ刷新やメキシコ国境沿い壁建設に係る支出増により、財政状態が危惧されており、アメリカ政府としてもどうにか資金を調達する必要があるわけです。

そこに、ジャパンから緩和マネーがやってきて、アメリカ国債を買ってくれるのであれば、アメリカ政府としても資金調達に困らずに、安心して政策を実行できます(円安さえ容認すれば)。

ちなみに、この外債を購入する話については、過去にも何度か観測論が浮上していますが、いずれも賞味期限は毎回短いです。

 日本銀行が金融政策の一環として外債を買うべきだという声が消えかかっては浮上している。

(中略)

中原氏は審議委員時代の2001年10月29日の金融政策決定会合で「日銀法33条に掲げている通常業務の範囲内で毎月定額の買い切りオペを外債についても行う」ことを提案。当時は1対8の反対多数で否決されたものの、「いまだに有効なやり方だ」と指摘する。

(中略)

安倍首相は9月6日、中国・杭州で開かれた20カ国・地域(G20)首脳会合後の記者会見で自ら外債購入に言及し、「為替介入を目的とする場合は日銀法上、日銀が自ら行うことは認められていない」と臆測を打ち消した。しかしその後も、質問になかった外債購入に首相が言及したことについて、金融政策目的であれば可能であることを示唆した、との見方は残った。

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外債購入に踏み切った場合、強烈な円売り圧力になる

ここまで、日銀による外債購入の可能性について書いてきました。

日銀と政府がリアルに検討しているかどうか分かりませんが、一つだけ断言できる事があります。

それは、

仮に外債購入に踏み切った場合、強烈な円売りに繋がる

という事です。

今のうちから、通貨の分散を進めていきましょう。

そう言っている筆者も、総資産の半分は円預金です。どの資産に振り向けるべきか検討中ですが、今回の件を受けて、リバランスを急ぎたいと思いました。

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